いま,CPAの松本先生の,監査論論文対策講義を聞いています。
で,この前の土日で分かったんですが,適正性表示の枠組みって,
経営者に,求められているんですよね。
いまさらですかね笑
なので,経営者は,財務諸表に重要な虚偽表示がないように,
事前にさまざまなリスクを検討して,作成計画をたてて,適切な調査ないし検査をして,
財務諸表を作成しなければならないわけです。
もうちょっといえば,経営者は,準拠性の枠組みから一歩離れて,適切な注記があるか,検討しなければならないってことです。
要は監査人と同等のレベルを求められていますよね。
で,検討の結果,経営者が,この財務諸表は適正に表示されていると思うから,監査人に報告するわけです。
監査人は,一歩離れて~とかありますが,それは,そもそも経営者が,一歩離れて,作成しなければならないので,監査人も,そうしなければならないということです。
別に,作成者と監査する人が離れている,っていう当然のこといってるわけではない。
経営者自身に,法律が,単にルールに従っていればいいという準拠性の枠組みを超えて,利害関係者に適切な情報を提供するという適正性の枠組みで,財務諸表を作成し表示するよう,そこまでの責任を求めているわけです。
で,それが正しいかどうか,監査人が判断する。
仮に,経営者に対して準拠性の枠組みの表示までしか求められていないのであれば,監査人だって,準拠性の枠組みまで監査すればオッケーなはずです。
そう考えると,経営者って,監査人に劣っているわけではないということです。
経営者も,監査人と同じように,財務諸表作成のために動いているわけです。
もちろん,経理の担当者がいますが,それは,経営者の代わりに,経営者の意に沿って,動いているにすぎません。
そのため,監査人も,経営者が自分と同じくらいの財務報告の知識がある前提で,監査をしていなかなければならない,となるわけです。
だから,二重責任の原則がなりたつんですね。
経営者と監査人の責任は,領域は違いますが,同等です。
なので,監査人としてなにをするべきかというと,まずは経営者の作成過程をトレースして,正しいかどうかを検証・確認する必要があるわけです。
たとえば,計画段階で,監査人が,リスク分析をし,このアサーションにリスクがあるなと考えるということは,
経営者も,同じように,考えているという前提にたつということです。
で,それを,監査人は経営者に確認する。
経営者に,「どのようなリスクあると思いますか」,「注目しているアサーションありますか」と質問するわけです。
それに対する経営者の回答が,監査人の期待する水準か否か。
水準に達していない場合,「経営者の偏向」という,全体レベルのリスクを推認させる事情になるわけですね。
だってそうしないと,監査人が作成責任の一旦を担うことになりますよね。
それは法律の枠組みではない。
作成責任は,経営者にしかないんです。
実地・立ち合いだって,本来は経営者がやるべき。でも,人的資源に限界がある。なので,経理の担当者がやっている。
でもそれは,経営者の代わりなので,経営者自身が,立ち合いを行っていることと,なんら変わりはないんです。
これって,監査人のリスクアプローチと,一緒ですよね。
そう考えると,なぜ,企業のCFOに,会計士がつくことが多いか,分かりますね。
CFOが,経営者の代わりに,事前にリスクを分析し,適切な財務諸表を作成するよう,動くことが期待されるのでしょう。
そうすると,監査人も,やりやすい。
なお,調べてみると,「財務報告実務検定」なるものがあるそうです。
さすがに勉強はしませんが,経営者にどのような責任があり,どのような役割を期待されているのか,それを知ることは,監査論の理解に役立ちそうですね。
興味があるひとは,調べてみては。