簿記の考え方に,BSアプローチっていうのがあって,
PLアプローチが対の考え方みたいなんですけど
めちゃめちゃわかりやすいです。
『世界のエリートがやっている会計の新しい教科書』
って本があるんですけど,
まじでおすすめです。
これ読んで,
あ,会計士いけるかも
って思っちゃったくらいですからね。
特に司法試験合格者は,売買契約における所有権の移転時期とかで,
ごちゃごちゃ考えてきたので,BSアプローチの考え方はすっきり入ってきますよ。
民法で勉強した所有権の移転時期なんて,
契約時か?引渡時か?引渡前で代金受取時は?引き渡しても代金未払いのときは?
不動産に至っては,第三者対抗力ある登記具備時?なんて議論もありますしね。
もうわけわからんですよ。そんなのを短答で答えなきゃいけないんですからね。
短答の肢1つ1つにABCって複数人が出てきたら,もう頭痛くなっちゃいますよ。
ま,慣れましたけど。
売買契約時の法律関係は,売主は代金支払請求権と目的物引渡義務が,買主は目的物引渡請求権と代金支払義務ですよね。
この「契約時」の法律関係が分かるのが,司法試験合格者のすごいところだと思うんですよ。
普通,簿記の勉強では,契約時の仕訳なんてしないですからね。
だいたい目的物引渡時か,代金支払時で考えるんですよ。
BSアプローチを使うと,売主側からみた場合
代金支払請求権は資産,目的物引渡債務は負債になるので,
資産 代金請求権 〇〇円 / 負債 引渡債務 〇〇円
みたいな感じでざっくり理解できるんですよね。
で,さらに分解してBSアプローチで検討すると,
資産 代金請求権 〇〇円 / 収益 〇〇円
費用 〇〇円 / 負債 引渡債務 〇〇円
ともできるんですよ。
BSアプローチでは,資産と負債の差額のうち増加を収益,減少を費用とみるので,
法律関係を個々に分解することが可能なんですよね。
BSアプローチによると,利益はBSで右側なので,利益の増加は右側,利益の減少は左側に書くことになり,
利益の増加を収益,利益の減少のことを費用という。
分かりやすいっすね。
買主から見れば,
資産 引渡請求権 〇〇円 / 負債 支払債務 〇〇円
ってな感じでできますし,個々の法律関係に分解することも可能です。
資産 引渡請求権 〇〇円 / 収益 〇〇円
費用 〇〇円 / 負債 支払債務 〇〇円
ってな感じで。
で,代金受取時においては,売主から見ると,決済によって代金支払請求権がなくなるので,
資産 現金 〇〇円 / -資産 支払請求権 〇〇円
ですし,見方を変えれば,
資産 現金 〇〇円 / 収益 〇〇円
とも仕訳できますよね。
資産が下がるときは,貸方に書くんですもんね。
費用 〇〇円 / -資産 支払請求権 〇〇円
なんて考えることも可能です。
買主からみれば,
-負債 支払債務 〇〇円 / -資産 現金 〇〇円
や
-負債 支払債務 〇〇円 / 収益 〇〇円
ともできますよね。負債が減少したときは,借方に書くんですもんね。
さらには,目的物を受け取ったとしたら,
資産 目的物 〇〇円 / -資産 現金〇〇円
あと
費用 〇〇円 / -資産 現金 〇〇円
って感じもできますよね。
いや,こう考えると,司法試験合格者がBSアプローチで簿記を学ぶと,すげー理解が早いんじゃないかって思いますよね。
特に,「収益認識時とは,相手からの代金支払いによって本人の同時履行の抗弁権が失われた時である」なんてのは,民法しっかり勉強しないと??だと思いますよ。
契約からの時間の経過によって,法律関係がどう変化していくかをきちっと理解しているなら,簿記の理解も正確なんじゃないですかね。